管理栄養士 用語集
管理栄養士の学習で出てくる用語112語の意味を、分野別にまとめました。用語を選ぶと、関連する用語やその用語が出てくる問題へ進めます。
社会・環境と健康(16語)
- 公衆衛生
- 公衆衛生は、組織された地域社会の努力によって、疾病を予防し、寿命を延ばし、身体的・精神的な健康と能率の増進を図る科学と技術。米国のウィンスローによる定義がよく知られている。 個人の治療ではなく、集団を対象に、環境の整備、感染症の予防、健康教育、医療・保健の体制づくりなどを行う点が特徴。
- 疫学
- 疫学は、人間の集団で、健康に関する事象の頻度や分布と、それに影響する要因を明らかにし、健康問題の予防や対策に役立てる学問。 記述疫学、分析疫学(コホート研究・症例対照研究)、介入研究などの方法がある。相対危険や寄与危険などの指標で、要因と疾病の関連の強さを評価する。
- コホート研究
- コホート研究は、ある要因にさらされている集団とさらされていない集団を一定期間追跡し、その後の疾病の発生率を比べて、要因と疾病の関連を調べる研究方法。 発生率を直接求められ、相対危険や寄与危険を計算できる。まれな疾病では多くの対象者と長い期間が必要になる。過去の要因を調べる症例対照研究と区別する。
- 症例対照研究
- 症例対照研究は、ある疾病にかかった人(症例)とかかっていない人(対照)を選び、過去にその要因にさらされていた割合を比べて、要因と疾病の関連を調べる研究方法。 まれな疾病でも比較的短期間で行えるが、発生率は求められないため、関連の強さはオッズ比で推定する。過去の記憶に頼るため思い出しの偏り(バイアス)に注意する。
- 相対危険
- 相対危険は、要因にさらされた集団の疾病の発生率を、さらされていない集団の発生率で割った値で、要因と疾病の関連の強さを表す。 1より大きいほど要因が疾病の発生を高める関連が強い。差で表す寄与危険と区別する。コホート研究で求められる。
- 寄与危険
- 寄与危険は、要因にさらされた集団の疾病の発生率から、さらされていない集団の発生率を引いた値。その要因によって増えた発生率の大きさを表す。 要因を取り除いたときに減らせる疾病の量を示すため、公衆衛生の対策の効果を考えるのに役立つ。比で表す相対危険と区別する。
- スクリーニング
- スクリーニングは、自覚症状のない人の集団から、疾病の疑いのある人を簡便な検査でふるい分けること。確定診断ではない。 検査の性能は、病気の人を陽性と判定する割合(敏感度)と、病気でない人を陰性と判定する割合(特異度)で評価する。カットオフ値を変えると、敏感度と特異度は一方が上がると他方が下がる関係にある。
- 敏感度
- 敏感度は、スクリーニング検査で、実際に病気の人のうち検査で陽性と判定される人の割合。 敏感度が高い検査は見逃し(偽陰性)が少ない。病気でない人を陰性と判定する割合である特異度と組み合わせて検査の性能を評価する。 見逃しを減らしたい重い病気のスクリーニングでは、敏感度が重視される。
- 特異度
- 特異度は、スクリーニング検査で、実際に病気でない人のうち検査で陰性と判定される人の割合。 特異度が高い検査は、病気でない人を誤って陽性とする偽陽性が少ない。カットオフ値を厳しくすると特異度は上がるが、敏感度は下がる。 偽陽性が多いと、不要な精密検査が増える。
- 人口動態統計
- 人口動態統計は、出生、死亡、死産、婚姻、離婚の届出をもとに、厚生労働省がまとめる人口の動きの統計。 出生率、死亡率、死因、周産期死亡率、乳児死亡率などを把握する基本的な資料になる。ある時点の人口の状態をとらえる国勢調査(人口静態統計)と区別する。
- 国民生活基礎調査
- 国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的な事項を把握するため、厚生労働省が毎年行う世帯への調査(3年ごとに大規模調査)。 世帯の構成、自覚症状がある人の割合(有訴者率)、通院者率、介護の状況などが分かる。 健康日本21の指標の把握にも使われる。
- 患者調査
- 患者調査は、病院・診療所を利用する患者の傷病の状況などを把握するため、厚生労働省が医療施設を対象に3年ごとに行う調査。 調査日に医療施設で受療した推計患者数や受療率、平均在院日数、総患者数などが分かる。 地域ごとの受療の状況を比べる資料にもなる。調査日の1日だけの受療を集計する点に注意する。
- 保健所
- 保健所は、地域保健法に基づき、都道府県、指定都市、中核市、特別区などが設置する、地域の公衆衛生の広域的・専門的な拠点。 食品衛生、感染症対策、精神保健、難病対策、栄養改善、特定給食施設の指導などを行う。住民に身近な保健サービスは市町村保健センターが担う。
- 地域保健法
- 地域保健法は、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置、市町村保健センターなどについて定める法律。 保健所を広域的・専門的な拠点、市町村保健センターを住民に身近な対人保健サービスの拠点として位置づけている。 1994年に保健所法を改正・改称して制定された。
- 地域包括支援センター
- 地域包括支援センターは、介護保険法に基づき市町村が設置し、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、総合相談、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントを行う機関。 保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置される。
- WBGT
- WBGT(暑さ指数・湿球黒球温度)は、気温、湿度、日射・輻射熱を取り入れて、熱中症の危険度を表す指標。 人体の熱のやりとりに影響の大きい湿度の影響を重く見て計算する。屋外では湿球温度・黒球温度・乾球温度から求め、運動や作業の目安、熱中症警戒アラートに使われる。
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち(9語)
- 解糖系
- 解糖系は、細胞質でグルコースをピルビン酸まで分解し、ATPを得る代謝経路。酸素がなくても進み、酸素が不足するとピルビン酸は乳酸になる。 酸素が十分あれば、ピルビン酸はミトコンドリアでアセチルCoAになり、クエン酸回路と電子伝達系でさらに多くのATPがつくられる。ホスホフルクトキナーゼが律速酵素。
- 糖新生
- 糖新生は、乳酸、アミノ酸(アラニンなど)、グリセロールなど、糖質以外の物質からグルコースをつくる代謝経路。主に肝臓(長い飢餓では腎臓も)で行われる。 空腹時や飢餓時に血糖値を保つ働きがある。脂肪酸からはグルコースをつくれない。グルカゴンやコルチゾールで促進され、インスリンで抑制される。
- β酸化
- β酸化は、脂肪酸をミトコンドリアで炭素2個ずつ切り離してアセチルCoAにする分解の過程。脂肪酸はカルニチンの働きでミトコンドリアに運ばれる。 できたアセチルCoAはクエン酸回路でエネルギーになるほか、糖質が不足すると肝臓でケトン体の合成に使われる。
- ケトン体
- ケトン体は、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称で、糖質が不足したときに脂肪酸の分解でできたアセチルCoAから肝臓でつくられる。 肝臓自身は利用できず、脳や筋肉などがエネルギー源として使う。飢餓やインスリンの作用不足で増え、血中に過剰になるとケトアシドーシスを起こす。
- 尿素回路
- 尿素回路は、アミノ酸の分解で生じる有害なアンモニアを、無害な尿素に変える代謝経路。肝臓で行われ、オルニチン回路とも呼ばれる。 できた尿素は腎臓から尿として排泄される。肝硬変などで肝機能が低下するとアンモニアが処理できず、高アンモニア血症や肝性脳症の原因になる。
- ミトコンドリア
- ミトコンドリアは、細胞内にある細胞小器官で、クエン酸回路と電子伝達系によって酸素を使い、大量のATPをつくる場所。 脂肪酸のβ酸化もここで行われる。独自のDNAを持つ。褐色脂肪組織のミトコンドリアには脱共役たんぱく質(UCP)があり、ATPをつくらずに熱を産生する。
- 副甲状腺ホルモン
- 副甲状腺ホルモン(PTH)は、副甲状腺から分泌され、血中のカルシウム濃度を上げるホルモン。 骨からカルシウムを溶かし出す(骨吸収)、腎臓でのカルシウムの再吸収を促しリンの再吸収を抑える、腎臓でのビタミンDの活性化を促す、という作用がある。血中カルシウムを下げるカルシトニンと逆に働く。
- インスリン
- インスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンで、血糖値を下げる唯一のホルモン。 筋肉や脂肪組織へのグルコースの取り込み、グリコーゲンや脂肪・たんぱく質の合成を促し、糖新生や脂肪の分解を抑える。作用が不足すると糖尿病になる。
- 骨粗鬆症
- 骨粗鬆症は、骨量の減少と骨の微細な構造の劣化により、骨がもろくなって骨折しやすくなった状態。閉経後の女性に多い。 エストロゲンの減少で骨吸収が骨形成を上回ることが大きな原因。予防には、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの十分な摂取と、適度な運動、日光浴が重要とされる。
食べ物と健康(9語)
- 食品表示基準
- 食品表示基準は、食品表示法に基づき、加工食品・生鮮食品・添加物の表示事項や表示の方法を定めた内閣府令。 名称、原材料名、添加物、内容量、消費期限または賞味期限、保存方法、栄養成分表示、アレルゲン、原料原産地などの表示を定める。栄養成分表示では、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の表示が義務になっている。
- 特定原材料
- 特定原材料は、食物アレルギーの発症数や重篤度から、食品表示基準で表示が義務づけられているアレルゲン。 2026年10月時点の食品表示基準では、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)が定められている(新たに加わった品目には経過措置がある)。表示が推奨される特定原材料に準ずるものも別に定められている。
- 保健機能食品
- 保健機能食品は、国が定めた制度に基づいて、健康の維持・増進に関する機能を表示できる食品の総称。 個別に国の許可を受ける特定保健用食品(トクホ)、国の定める規格基準に適合すれば表示できる栄養機能食品、事業者の責任で科学的根拠を消費者庁に届け出る機能性表示食品の3つがある。いずれも医薬品ではなく、病気の治療を目的とする表示はできない。
- 特別用途食品
- 特別用途食品は、乳児、妊産婦・授乳婦、えん下困難者、病者などの発育や健康の保持・回復に適するという特別の用途を表示する食品で、健康増進法に基づき消費者庁長官の許可を受けたもの。 病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調製乳、えん下困難者用食品などがある。
- 食中毒
- 食中毒は、食品や飲料を介して細菌、ウイルス、自然毒、化学物質などが体に入り、腹痛、下痢、嘔吐などの健康被害が起こること。 細菌性食中毒には、腸管内で増えて発症する感染型(サルモネラ属菌、カンピロバクターなど)と、食品中でつくられた毒素で発症する毒素型(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など)がある。食中毒を診断した医師は保健所長に届け出る。
- 食品成分表
- 食品成分表(日本食品標準成分表)は、日常的に食べる食品のエネルギーや栄養素の含有量を、可食部100gあたりで示した、文部科学省の公的なデータ集。 現在は八訂(2020年版)とその増補版が使われ、八訂ではエネルギーを組成成分の量に各成分のエネルギー換算係数を掛けて算出する方法に改められた。献立作成や栄養価計算の基礎になる。
- 食物繊維
- 食物繊維は、人の消化酵素で消化されない食品中の成分の総体。水に溶ける水溶性食物繊維(ペクチン、グルコマンナンなど)と、溶けにくい不溶性食物繊維(セルロースなど)がある。 便通の改善、血糖値の急な上昇や血中コレステロールの上昇の抑制などに関わり、大腸で腸内細菌に発酵されて短鎖脂肪酸を生じる。日本人の食事摂取基準では目標量(下限)が示されている。
- プレバイオティクス
- プレバイオティクスは、大腸の有用な腸内細菌の増殖や活性を選んで促し、宿主の健康に役立つ、消化されにくい食品成分。オリゴ糖や一部の食物繊維などが該当する。 生きた有用菌そのものを摂るプロバイオティクスと区別し、両方を組み合わせたものをシンバイオティクスという。
- アミノカルボニル反応
- アミノカルボニル反応(メイラード反応)は、アミノ酸などのアミノ化合物と、還元糖などのカルボニル化合物が加熱などで反応し、褐色の物質(メラノイジン)や香りの成分を生じる非酵素的褐変反応。 しょうゆや味噌の色、パンや焼き菓子の焼き色と香りに関わる。反応によりリシンなどの必須アミノ酸が利用されにくくなる。
基礎栄養学(18語)
- エネルギー換算係数
- エネルギー換算係数は、食品の成分の量から、それが体内で生じるエネルギー量を求めるための係数。 アトウォーター係数として、たんぱく質と炭水化物は1gあたり4kcal、脂質は9kcal、アルコールは7kcalがよく使われる。日本食品標準成分表(八訂)では、アミノ酸組成によるたんぱく質や脂肪酸のトリアシルグリセロール当量など、組成成分ごとの係数を使ってエネルギーを算出する。
- 呼吸商
- 呼吸商は、栄養素が体内で燃焼するときに、排出される二酸化炭素の量を、消費される酸素の量で割った値(体積比)。 糖質は1.0、脂質は約0.7、たんぱく質は約0.8で、呼吸商の値から主にどの栄養素がエネルギー源として使われているかを推定できる。たんぱく質の燃焼量は尿中の窒素排泄量から求めて差し引く(非たんぱく質呼吸商)。
- 基礎代謝量
- 基礎代謝量は、心身ともに安静な状態で、生命を維持するために最低限必要なエネルギー消費量。早朝の空腹時に、快適な室温で横になった状態で測定する。 体重、とくに除脂肪量(筋肉など)に影響され、一般に男性は女性より多く、加齢とともに減る。甲状腺ホルモンの分泌が増えると基礎代謝は亢進する。
- 必須アミノ酸
- 必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)は、体内で合成できないか、必要量を合成できないため、食事から摂らなければならないアミノ酸。人ではバリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、リシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類。 バリン・ロイシン・イソロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、主に筋肉で代謝される。
- アミノ酸スコア
- アミノ酸スコアは、食品のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の量を、基準となるアミノ酸評点パターンと比べて、たんぱく質の質を評価する指標。 評点パターンに対して最も不足している必須アミノ酸(第一制限アミノ酸)の割合がスコアになる。精白米や小麦ではリシンが第一制限アミノ酸で、不足を補う食品と組み合わせると質が高まる(アミノ酸の補足効果)。
- 窒素出納
- 窒素出納は、食事から摂った窒素の量と、尿・便などに排泄された窒素の量の差。たんぱく質の約16%が窒素なので、体のたんぱく質が増えているか減っているかの指標になる。 成長期や回復期には正(摂取が多い)、飢餓や侵襲(手術・外傷など)の時には負になる。日本人の食事摂取基準では、窒素出納法で得られたたんぱく質維持必要量をもとにたんぱく質の推定平均必要量を設定している。
- 脂溶性ビタミン
- 脂溶性ビタミンは、脂に溶けやすい性質を持つビタミンで、ビタミンA、D、E、Kの4つ。 脂質とともに吸収され、肝臓や脂肪組織に蓄積されやすいため、過剰に摂ると過剰症を起こすことがある(とくにビタミンAとD)。ビタミンAは視覚や皮膚・粘膜、Dはカルシウムの吸収、Eは抗酸化、Kは血液凝固と骨の形成に関わる。
- 水溶性ビタミン
- 水溶性ビタミンは、水に溶けやすいビタミンで、ビタミンB群(B1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン)とビタミンCがある。 多くは補酵素として代謝に関わる。体内にあまり蓄積されず、余分は尿に排泄されるため、毎日の食事から摂る必要がある。
- ビタミンB1
- ビタミンB1(チアミン)は、糖質がエネルギーに変わる代謝で補酵素として働く水溶性ビタミン。 不足すると脚気(末梢神経障害や心不全)や、ウェルニッケ脳症を起こす。糖質の摂取が多いほど必要量が増え、アルコールの多飲は欠乏の原因になる。豚肉、胚芽、豆類に多い。
- ビタミンB12
- ビタミンB12(コバラミン)は、コバルトを含む水溶性ビタミンで、葉酸とともにDNAの合成や赤血球の形成に関わる。 胃から分泌される内因子と結合して回腸で吸収されるため、胃の全摘後などでは吸収が低下し、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を起こす。主に動物性食品に含まれる。
- ビタミンD
- ビタミンDは、腸でのカルシウムとリンの吸収を促し、骨の形成を助ける脂溶性ビタミン。紫外線を浴びると皮膚でもつくられる。 肝臓と腎臓で水酸化を受けて活性型(1,25-ジヒドロキシビタミンD)になって働く。不足すると、小児ではくる病、成人では骨軟化症を起こす。魚類やきのこ類に多い。
- カルシウム
- カルシウムは、体内に最も多いミネラルで、約99%が骨と歯に存在する。残りは血液や細胞にあり、筋肉の収縮、神経の伝達、血液の凝固などに関わる。 血中濃度は副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD、カルシトニンで一定に保たれる。吸収はビタミンDで促され、シュウ酸やフィチン酸で妨げられる。
- 鉄
- 鉄は、赤血球のヘモグロビンの成分として酸素を運ぶミネラル。動物性食品に多いヘム鉄と、植物性食品などに含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが吸収されやすい。 非ヘム鉄の吸収はビタミンCで高まり、タンニンなどで妨げられる。体内の鉄が不足すると鉄欠乏性貧血になり、月経のある女性や妊婦、成長期は不足しやすい。
- 亜鉛
- 亜鉛は、多くの酵素の構成成分として、たんぱく質の合成や細胞の増殖、免疫などに関わる微量ミネラル。 不足すると味覚障害、皮膚炎、成長障害、創傷の治りの遅れなどが起こる。かきなどの貝類や肉類に多い。 長期の静脈栄養や、亜鉛の吸収を妨げる薬剤の使用なども欠乏の原因になる。
- 代謝水
- 代謝水は、糖質・脂質・たんぱく質が体内で酸化されてエネルギーになるときに生じる水。成人では1日およそ300mL程度とされる。 同じ重さでは脂質から最も多く生じる。水分出納は、飲料水・食物中の水・代謝水による摂取と、尿・便・不感蒸泄による排泄のつり合いで考える。
- 不感蒸泄
- 不感蒸泄は、皮膚や呼気から、本人が意識しないうちに失われる水分。汗(発汗)は含まない。成人では1日およそ900mL程度とされる。 体温の上昇、室温の上昇、呼吸数の増加などで増える。水分出納の計算や、発熱時の水分補給の検討で考慮する。 体温が1℃上がるごとに増えるとされる。
- 急速代謝回転たんぱく質
- 急速代謝回転たんぱく質(RTP)は、血中での半減期が短く、短い期間の栄養状態の変化を反映するたんぱく質。 レチノール結合たんぱく質(約0.5日)、トランスサイレチン(プレアルブミン、約2日)、トランスフェリン(約7日)があり、半減期が約2〜3週間のアルブミンより早く変化する。炎症などの影響も受けるため解釈に注意する。
- 分岐鎖アミノ酸
- 分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸。主に骨格筋で代謝され、エネルギー源やたんぱく質の合成に使われる。 肝硬変では血中のBCAAが減り、芳香族アミノ酸との比(フィッシャー比)が低下するため、BCAAを多く含む製剤が栄養療法に使われる。ロイシンは筋たんぱく質の合成を促す。
応用栄養学(17語)
- 日本人の食事摂取基準
- 日本人の食事摂取基準は、健康増進法に基づき、健康な個人・集団の健康の保持増進と生活習慣病の予防のために、エネルギーと栄養素の摂取量の基準を厚生労働大臣が定めたもの。2025年版が2025年度から使われている。 エネルギーは目標とするBMIの範囲で、栄養素は推定平均必要量・推奨量・目安量・耐容上限量・目標量の5つの指標で示す。
- 推定平均必要量
- 推定平均必要量(EAR)は、日本人の食事摂取基準の指標のひとつで、ある集団で測定された必要量の分布から推定した、母集団の必要量の平均値。 この量を摂取すると、集団の半数の人が必要量を満たすと推定される。摂取不足の回避を目的とし、推奨量を求める基になる。
- 推奨量
- 推奨量(RDA)は、日本人の食事摂取基準の指標のひとつで、ある集団のほとんどの人(97〜98%)が必要量を満たすと推定される摂取量。 推定平均必要量をもとに、個人間の変動を考慮して算定する。摂取不足の回避が目的で、推定平均必要量が設定された栄養素に設定される。
- 目安量
- 目安量(AI)は、日本人の食事摂取基準の指標のひとつで、特定の集団において一定の栄養状態を維持するのに十分な量。 十分な科学的根拠がなく、推定平均必要量と推奨量を算定できない場合に代わりに設定する。乳児の基準は、母乳の栄養素の濃度と哺乳量などから目安量として示される。
- 耐容上限量
- 耐容上限量(UL)は、日本人の食事摂取基準の指標のひとつで、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。 過剰摂取による健康障害の回避が目的。通常の食品だけでなく、いわゆる健康食品やサプリメントからの摂取も考慮する。これを超えると過剰摂取による障害の可能性が高まる。
- 目標量
- 目標量(DG)は、日本人の食事摂取基準の指標のひとつで、生活習慣病の発症予防のために、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。 食物繊維やカリウムは下限、飽和脂肪酸やナトリウム(食塩相当量)は上限、エネルギー産生栄養素バランスは構成比率で示す。2025年版の食塩相当量の目標量は、成人男性7.5g/日未満、成人女性6.5g/日未満。
- 目標とするBMI
- 目標とするBMIは、日本人の食事摂取基準で、エネルギー摂取量と消費量のバランスの維持を示す指標として示されたBMIの範囲(18歳以上・男女共通)。 2025年版では、18〜49歳は18.5〜24.9、50〜64歳は20.0〜24.9、65〜74歳と75歳以上は21.5〜24.9 kg/m²。あくまで参考として使い、体重の変化なども合わせて判断する。
- エネルギー産生栄養素バランス
- エネルギー産生栄養素バランスは、たんぱく質、脂質、炭水化物(アルコールを含む)が総エネルギー摂取量に占める割合(%エネルギー)の目標量。 日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の脂質は20〜30%、炭水化物は50〜65%、たんぱく質は18〜49歳で13〜20%、50〜64歳で14〜20%、65歳以上で15〜20%。必要なエネルギー量を確保したうえでのバランスとする。
- BMI
- BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求める体格の指数(Body Mass Index)。 日本肥満学会の基準では25以上を肥満、18.5未満を低体重とする。日本人の食事摂取基準では、エネルギー収支のバランスの指標として、年齢区分ごとに目標とするBMIの範囲を示している。
- フレイル
- フレイルは、加齢によって心身の予備能力が低下し、ストレスに弱くなって、要介護状態などに陥りやすくなった状態。健康と要介護の中間にあたり、適切な介入で回復しうる。 体重減少、疲れやすさ、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動量の低下などで評価する。低栄養やサルコペニアと関係が深い。
- サルコペニア
- サルコペニアは、加齢などにより骨格筋量が減少し、筋力または身体機能が低下した状態。 アジアの診断基準(AWGS2019)では、握力(男性28kg未満、女性18kg未満)や歩行速度などの身体機能と、骨格筋量の測定から判定する。予防には、十分なたんぱく質の摂取とレジスタンス運動の組み合わせが重要とされる。
- 授乳・離乳の支援ガイド
- 授乳・離乳の支援ガイドは、保健医療従事者が授乳と離乳を支援する際の基本的な考え方を示した厚生労働省の指針(2019年改定)。 離乳の開始は生後5〜6か月ごろ、完了は12〜18か月ごろを目安とし、なめらかにすりつぶした状態から始めて、子どもの発達に合わせて形態を進める。食物アレルギーの予防のために特定の食品の開始を遅らせることは勧めていない。
- 成長曲線
- 成長曲線は、子どもの身長や体重の値を、年齢ごとの標準的な分布(パーセンタイル曲線など)と重ねてグラフにしたもの。 1回の測定値ではなく、曲線に沿って成長しているかという推移を見ることで、成長の異常や栄養状態の問題に早く気づける。乳幼児では母子健康手帳の発育曲線が使われる。
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に高血圧がみられ、分娩後12週までに正常に戻る病態の総称。たんぱく尿や臓器の障害を伴う妊娠高血圧腎症などが含まれる。 母体と胎児の両方に危険がある。極端な食塩制限は勧められず、適正な体重増加と栄養バランスのよい食事が基本となる。
- 妊娠糖尿病
- 妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて見つかった、明らかな糖尿病には至らない糖代謝の異常。 胎盤から分泌されるホルモンによるインスリン抵抗性の増大が背景にある。巨大児などの周産期の合併症の危険が高まるほか、将来2型糖尿病になる危険も高い。分食などで血糖を管理する。
- METs
- METsは、身体活動の強さを、安静に座っているときのエネルギー消費量の何倍にあたるかで表す単位。 普通の歩行はおよそ3METs、速歩は約4METs程度。身体活動量はMETsに時間を掛けたメッツ・時で表し、エネルギー消費量は、METs×時間×体重からおおよそ求められる。
- 暑熱順化
- 暑熱順化は、暑い環境に繰り返し体をさらすことで、暑さに体が慣れていくこと。 発汗が早く始まり発汗量が増える、汗に含まれる塩分が減る、皮膚の血流が増えて熱を逃がしやすくなるなどの変化が起こり、熱中症になりにくくなる。数日から2週間程度で起こるとされる。
栄養教育論(11語)
- 行動変容ステージモデル
- 行動変容ステージモデルは、人が行動を変える過程を、無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の5つのステージで表すモデル(プロチャスカらのトランスセオレティカルモデルの中心概念)。 実行期は行動を始めて6か月未満、維持期は6か月以上続いている段階。ステージに合わせて働きかけの方法を変える。
- 自己効力感
- 自己効力感は、ある行動をうまく行うことができるという、自分の能力についての見込みや自信。バンデューラの社会的認知理論の中心的な概念。 成功体験(達成経験)、他者の成功を見ること(代理的経験)、言葉による励まし(言語的説得)、生理的・情動的な状態によって高まる。自己効力感が高いほど行動変容が起こりやすい。
- 社会的認知理論
- 社会的認知理論は、バンデューラが提唱した、人の行動が、個人の認知(考え)、行動、環境が互いに影響し合って決まるとする理論(相互決定主義)。 自己効力感、結果期待、他者の行動を見て学ぶ観察学習(モデリング)などの概念を含み、栄養教育の計画に広く使われる。
- オペラント条件づけ
- オペラント条件づけは、ある行動の後に起こる結果によって、その行動の起こりやすさが変わる学習。スキナーが体系化した。 行動の後に好ましい結果が加わる(正の強化)か、嫌な状態がなくなる(負の強化)とその行動は増える。行動変容技法では、望ましい行動にほうびを与えるなどの強化を活用する。
- 刺激統制
- 刺激統制は、行動のきっかけとなる刺激(環境)を整えることで、望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やす行動変容技法。 たとえば、菓子を目につく場所に置かない、食事の場所を決めてながら食べをしない、買い物は空腹時を避ける、などがある。 ほかの行動変容技法と組み合わせて使われる。
- ソーシャルサポート
- ソーシャルサポートは、家族、友人、仲間、専門家などの周囲の人から受ける支援。 共感や励ましなどの情緒的サポート、物や手助けを提供する道具的サポート、知識や助言を与える情報的サポート、行動を評価する評価的サポートなどに分類される。行動変容の継続を支える要因になる。
- イノベーション普及理論
- イノベーション普及理論は、ロジャーズが提唱した、新しい考え方や技術・行動が社会に広まっていく過程を説明する理論。 採用の早い順に、イノベーター、初期採用者、前期多数派、後期多数派、遅滞者に分ける。比較優位性、適合性、複雑性(わかりやすさ)、試行可能性、観察可能性が普及の速さに影響する。
- エンパワメント
- エンパワメントは、個人や集団・地域が、自らの生活や健康に影響する事柄をコントロールする力を身につけ、主体的に問題を解決できるようにしていく過程。 栄養教育では、指導者が一方的に教えるのではなく、対象者の自己決定を尊重し、自主グループの活動などを支援する形で進める。
- コミュニティオーガニゼーション
- コミュニティオーガニゼーションは、地域の住民が自分たちの健康問題を見つけ、資源を活用し、組織的に解決していく過程を支援する方法。 住民参加とエンパワメントを重視し、地域の組織やリーダーを育てて、自主的な活動へとつなげる。 行政や専門職は、住民の主体的な活動を側面から支える役割を担う。
- プリシード・プロシードモデル
- プリシード・プロシードモデルは、グリーンらが開発した、健康教育やヘルスプロモーションの計画と評価のためのモデル。 まず生活の質(QOL)や健康の目標から逆にさかのぼって、行動・環境の要因、それに影響する前提要因・強化要因・実現要因を診断し(プリシード)、実施後に過程評価・影響評価・結果評価を行う(プロシード)。
- 食育基本法
- 食育基本法は、食育を国民運動として総合的・計画的に推進するために2005年に制定された法律。 食育を、生きるうえでの基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものと位置づけ、国は食育推進基本計画を作成する。毎年6月が食育月間、毎月19日が食育の日とされている。
臨床栄養学(19語)
- 糖尿病
- 糖尿病は、インスリンの作用不足によって慢性的に血糖値が高い状態が続く代謝疾患。インスリンをつくる細胞が壊れる1型と、分泌の低下やインスリン抵抗性による2型などがある。 長い期間の高血糖は、網膜症・腎症・神経障害などの合併症を起こす。診断や管理にはHbA1cなどを用い、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせる。
- CKD
- CKD(慢性腎臓病)は、たんぱく尿などの腎臓の障害、または腎機能の低下(eGFR 60 mL/分/1.73m²未満)が3か月以上続く状態。 原因疾患、eGFRによる区分、たんぱく尿(アルブミン尿)の程度で重症度を分類する。食事療法では、病期に応じて食塩、たんぱく質、カリウム、リンなどの摂取量を調整する。
- 肥満症
- 肥満症は、肥満(BMI25以上)に、肥満が原因または関連する健康障害(2型糖尿病、脂質異常症、高血圧など)を合併するか、その合併が予想される内臓脂肪の蓄積がある状態で、医学的に減量が必要な病気(日本肥満学会)。 単なる肥満とは区別される。BMI35以上は高度肥満とされる。
- メタボリックシンドローム
- メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を基盤に、高血糖、脂質異常、高血圧が重なり、動脈硬化性の疾患が起こりやすくなっている状態。 日本の診断基準では、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上を必須とし、血清脂質、血圧、空腹時血糖のうち2項目以上が基準に当てはまる場合に診断する。特定健康診査はこの考え方に基づく。
- 鉄欠乏性貧血
- 鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足してヘモグロビンが十分につくれなくなる貧血で、最も頻度が高い。 赤血球が小さく色の薄い小球性低色素性貧血となり、貯蔵鉄を表す血清フェリチンが低下する。月経、妊娠、消化管からの出血、鉄の摂取不足などが原因になる。 鉄剤の服用で改善が見込まれる。
- 肝硬変
- 肝硬変は、慢性の肝障害が進んで肝臓が線維化し、硬く小さくなって機能が低下した状態。 たんぱく質の合成低下による低アルブミン血症、腹水、アンモニアの処理障害による肝性脳症などが起こる。栄養療法では、分岐鎖アミノ酸の補給や、夜間の飢餓を防ぐ就寝前の軽食(LES)が用いられる。
- クローン病
- クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも、とびとびに慢性の炎症や潰瘍が起こる炎症性腸疾患。小腸の末端と大腸に多い。 腹痛、下痢、体重減少などがみられ、狭窄や瘻孔を起こすこともある。栄養療法では、成分栄養剤などの経腸栄養が用いられ、脂質の少ない食事が勧められる。大腸に連続して炎症が起こる潰瘍性大腸炎と区別する。
- 胃切除
- 胃切除後には、胃の貯留機能や消化機能が失われることで、さまざまな障害が起こる。 食べた物が急に小腸に流れ込むことによるダンピング症候群(食後すぐの早期と、2〜3時間後の低血糖による後期)、内因子の欠乏によるビタミンB12欠乏と巨赤芽球性貧血、鉄やカルシウムの吸収低下による貧血や骨障害などがある。少量頻回の食事が基本となる。
- 心不全
- 心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなった状態。息切れ、むくみ、体重増加などが起こる。 体液の貯留を防ぐため食塩の制限が基本となり、重症では水分の制限も行う。体重の急な増加は体液がたまっているサインになる。食欲低下により低栄養(心臓悪液質)にも注意する。
- 食塩制限
- 食塩制限は、高血圧、心不全、慢性腎臓病などで、体液量や血圧を管理するために食塩の摂取量を制限すること。 日本人の食事摂取基準(2025年版)では、高血圧と慢性腎臓病の重症化予防のための食塩相当量を男女とも6.0g/日未満としている。だしや酸味、香辛料を生かす、加工食品を控えるなどの工夫で実践する。
- 経腸栄養
- 経腸栄養は、消化管を通して栄養を補給する方法で、口から摂る経口栄養と、チューブを使う経管栄養(経鼻胃管、胃瘻・腸瘻など)がある。 腸が機能している場合は、静脈栄養より経腸栄養を優先するのが原則。腸の粘膜の萎縮を防ぎ、感染症の合併を減らす。下痢、誤嚥、チューブのトラブルに注意する。
- 静脈栄養
- 静脈栄養は、静脈から栄養素を直接投与する方法。末梢の静脈から行う末梢静脈栄養と、高濃度の栄養輸液を中心静脈から投与する中心静脈栄養がある。 消化管が使えない場合や、経腸栄養だけでは必要量を満たせない場合に用いる。カテーテルによる感染、高血糖、肝機能障害などの合併症に注意する。
- リフィーディング症候群
- リフィーディング症候群は、高度の低栄養状態の人に急に栄養を補給したとき、インスリンの分泌増加に伴って、リン、カリウム、マグネシウムなどが細胞内へ移動し、血中濃度が急に低下して起こる代謝の異常。 心不全、不整脈、呼吸不全、意識障害などを起こしうる。低リン血症が代表的で、少ない量から段階的に増やし、電解質を監視する。
- 栄養アセスメント
- 栄養アセスメントは、身体計測、臨床検査、臨床診査(問診・身体所見)、食事調査などから、対象者の栄養状態を総合的に評価すること。 栄養管理の過程で、栄養スクリーニングで抽出した人に詳しく行い、栄養診断と栄養計画の根拠にする。成人の低栄養の診断にはGLIM基準が用いられる。
- GLIM基準
- GLIM基準は、国際的に合意された成人の低栄養の診断基準。 まず栄養スクリーニングでリスクのある人を選び、次に表現型(意図しない体重減少、低BMI、筋肉量の減少)から1つ以上、病因(食事摂取量の減少・消化吸収能の低下、疾患による負荷・炎症)から1つ以上が当てはまれば低栄養と診断し、表現型の程度で重症度を判定する。
- NST
- NST(栄養サポートチーム)は、医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師などの多職種が協力して、入院患者の栄養状態を評価し、適切な栄養管理を提案・実施するチーム。 栄養障害のある患者を早く見つけ、栄養療法の質を高めることで、合併症の減少や在院日数の短縮につなげる。
- クリニカルパス
- クリニカルパスは、特定の疾患や手術について、入院から退院までの検査、治療、看護、栄養管理、リハビリテーションなどの標準的な計画を、時間軸に沿って一覧にしたもの。 医療の標準化と質の向上、チーム内の情報共有に役立つ。計画どおりに進まなかった事象をバリアンスといい、分析して改善に生かす。
- 嚥下調整食
- 嚥下調整食は、かむことや飲み込むことが難しい人のために、形態、かたさ、付着性、まとまりやすさなどを調整した食事。 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類(学会分類)で段階が示され、とろみの程度も区分されている。誤嚥を防ぐため、個人の嚥下機能に合った段階を選ぶ。
- 誤嚥性肺炎
- 誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液、胃の内容物などが気管に入り(誤嚥)、それに含まれる細菌によって起こる肺炎。嚥下機能が低下した高齢者に多い。 予防には、口腔ケア、食事の姿勢の工夫、嚥下機能に合った食形態(嚥下調整食)、とろみの調整などが重要になる。
公衆栄養学(7語)
- 健康日本21
- 健康日本21は、健康増進法に基づく国民の健康づくりの基本方針で、2024年度からは第三次の計画が進められている。 健康寿命の延伸と健康格差の縮小を全体の目標に、栄養・食生活、身体活動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔などの分野で目標を定めている。栄養・食生活では、適正体重の維持、野菜摂取量の増加、食塩摂取量の減少などを掲げている。
- 健康増進法
- 健康増進法は、国民の健康の増進の総合的な推進に関する基本的な事項を定めた法律。 国民健康・栄養調査の実施、食事摂取基準の策定、特定給食施設の栄養管理、受動喫煙の防止、特別用途表示などを定めている。健康日本21はこの法律に基づく基本方針である。
- 国民健康・栄養調査
- 国民健康・栄養調査は、健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素等の摂取量、生活習慣の状況を明らかにするため、厚生労働省が毎年行う調査。 身体状況調査、栄養摂取状況調査(1日の食事の記録)、生活習慣調査からなる。食塩摂取量や肥満者の割合など、健康日本21の評価の基礎資料になる。
- 管理栄養士
- 管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者の療養のための栄養指導、個人の身体状況や栄養状態に応じた高度な専門的知識と技術を要する栄養指導、特定多数人に継続的に食事を供給する施設での特別な配慮を要する給食管理と施設への指導などを行う者(栄養士法)。 栄養士は都道府県知事の免許で、栄養の指導に従事する。
- 特定健康診査
- 特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者が40〜74歳の加入者を対象に行う、メタボリックシンドロームに着目した健康診査。 結果からリスクの程度に応じて、動機付け支援または積極的支援の特定保健指導を行う。管理栄養士は特定保健指導の担い手のひとつ。
- 食生活指針
- 食生活指針は、国民一人ひとりが健全な食生活を実践できるよう、文部省・厚生省・農林水産省(当時)が2000年に策定した10項目の指針(2016年一部改正)。 「食事を楽しみましょう」「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」「食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて」などを示す。これを具体的な料理の組み合わせで示したものが食事バランスガイド。
- 食事バランスガイド
- 食事バランスガイドは、1日に「何を」「どれだけ」食べればよいかを、コマのイラストで示したもの(2005年、厚生労働省・農林水産省)。 主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの料理区分について、料理の数え方の単位(つ・SV)で量を示し、水・お茶を軸、運動をコマの回転、菓子・嗜好飲料をひもで表している。
給食経営管理論(6語)
- 特定給食施設
- 特定給食施設は、特定かつ多数の人に継続的に1回100食以上または1日250食以上の食事を供給する施設で、設置者は都道府県知事に届け出る(健康増進法・同施行規則)。 医学的な管理が必要な人に1回300食以上または1日750食以上を供給する施設などは、知事の指定により管理栄養士を置かなければならない。
- HACCP
- HACCPは、食品の製造・調理の工程で起こりうる危害(微生物、化学物質、異物など)をあらかじめ分析し、特に重要な工程を重要管理点として継続的に監視・記録することで、安全性を確保する衛生管理の手法。 日本では食品衛生法の改正により、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められている。
- 大量調理施設衛生管理マニュアル
- 大量調理施設衛生管理マニュアルは、集団給食施設などでの食中毒を防ぐため、HACCPの考え方に基づいて厚生労働省が示した衛生管理の指針。同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供する施設が対象。 加熱調理食品は中心部を75℃で1分以上(ノロウイルス汚染のおそれがある食品は85〜90℃で90秒以上)加熱する、原材料と調理済み食品を−20℃以下で2週間以上保存するなどを定めている。
- 給食経営管理
- 給食経営管理は、特定給食施設で、利用者の栄養管理を目的とした食事を、安全・おいしく・効率よく提供するために、人・物・金・情報などの資源を計画的に管理する活動。 栄養・食事管理、品質管理、衛生・安全管理、原価管理、人事管理などを含み、計画・実施・評価・改善(PDCA)のサイクルで運営する。
- クックチル
- クックチルは、加熱調理した料理を短時間で急速に冷却して冷蔵保存し、提供の直前に再加熱して出す調理システム。 調理と提供の時間を切り離せるため、作業の平準化や計画的な生産ができる。加熱後30分以内に冷却を始め、90分以内に中心温度を3℃以下まで下げる方式が一般的とされる。
- ABC分析
- ABC分析は、品目を使用金額などの大きい順に並べ、累積の割合で重要度の高いA群、中程度のB群、低いC群に分けて、管理の重点を決める方法。 給食の食材管理では、使用金額の大きいA群の食材を重点的に管理することで、効率よく原価を抑えられる。 C群の品目は管理を簡素にして手間を減らす。
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